貴金属の刻印 完全ガイド|意味や見分け方も解説

はじめに:刻印を読み解けば“貴金属の履歴書”が見える

金やプラチナなどの貴金属を手に取ったとき、まずチェックしたいのが小さな刻印です。そこには素材の種類や純度、加工方法といった“履歴書”が凝縮されており、読み取れるかどうかで価値の判断精度が大きく変わります。本記事では、刻印から純度と素材を正しく読み解く手順を、初心者にも分かるよう体系的に解説します。

1. 刻印で分かる基本情報と表記ルール

1-1. 刻印が示す五つの要素

刻印は概ね以下の五要素で構成されています。

要素

意味

素材

K / Pt / SV / Pd

金・プラチナ・銀・パラジウム

純度

K18 / 750 / Pt950

含有率を24分率または千分率で表示

YG / WG / PG

イエロー・ホワイト・ピンクゴールド等

加工

GP / GF / RGP

メッキ・金張り・ロールゴールドプレート

メーカー

TIFFANY / MIYUKI

ブランド・工房・国の検定印

これらが組み合わさることで「素材」「純度」「加工の有無」が一目で分かります。

1-2. 日本と海外で異なる表記

日本のJIS規格では金は「K+数字」(例:K18)、プラチナは「Pt+数字」(例:Pt950)が主流です。一方、欧米では千分率だけを刻むケースが多く、Au750や925のように元素記号+数字で表すこともあります。国際相場と照合する際は、どちらの表記かを確認しましょう。

2. 刻印を読む前に押さえる三つの視点

  1. 素材コードを先に探す:K、Pt、SV、Pdなどの英字から始めると判別が早い。
  2. 数字の形式を確認:24分率か千分率かで純度が変わる。
  3. 末尾の記号に注意:YG/GPなど末尾が価値を左右する。

この順序を守れば、刻印の位置が前後していてもロジックで整理できます。

3. 金の刻印と純度:K表記と千分率の違い

3-1. 24分率(K表記)の読み方

  • K24(純金):理論上含有率99.99%前後。投資用延べ棒に多い。
  • K18:含有率75%。日本のジュエリー市場で最も流通。
  • K14 / K10 / K9:数字が下がるほど他金属の割合が増え、価格は下がります。一般的に、純度が下がるほど硬度は高くなる傾向があります(※合金の配合比によって例外あり)。

3-2. 千分率(3桁)の読み方

  • 999:純金相当。インゴットや一部コインに刻印される。
  • 750:K18と同じ。海外ブランドジュエリーに多い。
  • 585 / 417 / 375:K14、K10、K9に相当。EU諸国で採用。

3-3. 色刻印と合わせて判断

色刻印の例:K18YG(イエローゴールド)、750WG(ホワイトゴールド)。

同じ純度でも色味が異なれば割金の種類が変わり、アレルギー耐性や加工のしやすさにも影響します。

4. プラチナの刻印と純度:Pt表記とPm表記の関係

4-1. Pt表記の基礎

  • Pt1000:ほぼ純プラチナ。柔らかいため小物や投資用が中心。
  • Pt950 / Pt900:高級リングや婚約指輪に多い。
  • Pt850 / Pt800:アンティーク品や大振りの装身具で見かける。

4-2. Pm表記が残る理由

戦前〜昭和中期の日本ではPm(Platinum Metal)刻印が法的に許可されており、現存品に多く残ります。

Pm900でも正規のプラチナ900なので偽物とは限りません。判別には比重測定やX線分析を併用しましょう。

5. 銀・パラジウム・メッキ刻印の見極め方

5-1. 銀(シルバー)の刻印

  • SV925 / Ag925 / STERLING:スターリングシルバー。
  • SV1000 / 1000:ファインシルバー(純銀)。

    酸化しやすく黒ずみが出るため、磨き布で軽く手入れする習慣が◎。

5-2. パラジウムの刻印

  • Pd950 / Pd900 / Pd500:数字が大きいほど純度が高い。

    パラジウムは比重が小さく刻印も小さいため、ルーペでの確認が必要です。

5-3. メッキ刻印に要注意

刻印例

意味

鑑定時のポイント

GP

Gold Plated(電気メッキ)

地金価値はほぼゼロ。デザイン評価が中心。

GF

Gold Filled(金張り)

表面層が厚い分、GPより耐久性が高い。

RGP

Rolled Gold Plate

アンティーク時計バンドで多い。

「K18GP」のように純度表記とメッキ表記が併記されると、地金価値はK18無垢とは別物になるので注意しましょう。

6. ホールマークとブランド刻印:真贋判定の補助線

6-1. ホールマーク(国の検定印)

イギリスのアセイオフィスやスイスの独自検定印など、刻印だけで市場信用度を底上げする役割があります。特にライオンパサント(英国純銀保証)、立会人の鷲(フランス金保証)などは国際取引の際も強力な裏付けになります。

6-2. ブランド刻印とコピー対策

Tiffany & Co. や Cartier などは独自フォントやシリアル番号で真正性を管理。並行輸入品やヴィンテージ品の場合、年代ごとの刻印変遷をチェックするのがプロ鑑定士の常套手段です。

7. 刻印が薄い・無い場合のチェックリスト

  1. リング内側・ネックレス留め具をライトで斜め照射
  2. スマホのマクロ撮影で拡大
  3. 超音波洗浄や研磨剤はNG:刻印が消失する危険
  4. 複数箇所の刻印を比較:同じ数字があれば信頼度UP

どうしても不明な場合は、必ず専門店に持参し、資材を削る化学テストは避けましょう。

8. 鑑定士が教える安心査定の活用法

  • 比重測定:水中置換法で素材比率を推定。
  • 蛍光X線分析:非破壊で元素組成を短時間表示。
  • 複数店舗比較:手数料や買取レートに差が出るため最低2社は回る。
  • 査定書の保管:資産管理や相続時の証明資料に有効。

JJA(日本ジュエリー協会)認定の店舗を選ぶと、査定手法や計算式が公開されており透明性が高いです。

9. まとめ:素材と純度を味方につけた賢い貴金属ライフ

刻印を読む力は、貴金属の価値を正しく理解し、無用なトラブルや買い逃しを防ぐ最初の防衛線です。本記事で解説した「素材コード → 純度数字 → 末尾記号 → 補助刻印」の順序を習慣化すれば、金やプラチナの真価を自信をもって見極められるはずです。気になる品が手元にある方は、まずルーペ片手に刻印観察から始めてみてください。それが賢い資産形成・リユース活用への第一歩になります。

Writer Profile

小川
査定員 小川
大手貴金属メーカーの営業を経て、現在は買い取り専門店の査定士。
特に金の品位判別と相場分析に強く、日々の地金価格チェックは欠かせません。お客様の不安を和らげる、誠実で丁寧な接客をモットーとしています。
豊富な業界経験を活かし、最新の市場動向や国際相場にも基づいた的確な査定を行っています。

関連記事

近くの店舗を探す
お問い合わせ